診療報酬改定
2026年度診療報酬改定案では、足元の物価高・賃上げに対応できず赤字経営を強いられる医療機関への支援に重点が置かれた。特にこれまでの対策では、医療従事者に賃上げの恩恵が十分届いていないとの指摘があったため、厚生労働省は実効性確保に腐心した。また、医療需要は高齢化がピークを迎える40年ごろまで増え続ける見通しだが、サービスの地域間格差は深刻化している。今回は人口減少地域にある病院向けに加算を設けるなど、中長期的な課題にも目配りした。
医療機関への経営支援で特徴的だったのは、医療従事者の賃上げに充てる加算を拡充することだ。この加算は24年度改定で導入。使途を看護師らの賃上げに限定した上で国への届け出が必要となっている。
しかし、勤務医らが対象外で、約6割の診療所が加算を導入しておらず、賃上げの実効性に課題を抱えていた。日本医師会幹部は「同じ施設で少人数で働いているのに、職種によって賃金に差が出るのは良くないと考えた診療所の院長が多かった」と説明する。
そこで、26年度改定では40歳未満の勤務医や事務職員らを加算の対象に含める。26、27年度でそれぞれ原則3.2%のベースアップを目指す。
人口減少への対応では、過疎地にある診療所などと連携し、緊急入院が必要な患者の受け入れ体制を備える病院への加算を新設する。全国自治体病院協議会の望月泉会長は「多くの公立病院では既にオンライン技術を活用して行っている取り組みだ」と話す。
ただ、地域医療の最後のとりでである公立病院は患者数の減少で不採算に陥りやすい。厚労省幹部は「この加算は病院が赤字にならないための経営支援の側面もある」と狙いを明かした。
全国的に見ても若手が少ない消化器外科医などの処遇改善に充てる加算も設けられるが、望月会長は「公立病院では特定の診療科だけ待遇を改善するのは難しい」と語った。

