深刻化する倒産・赤字の波 病院経営の厳しさ
2025年3月10日
🏥 病院経営難の実態と打開策(2025年最新版)
倒産件数過去最多、赤字病院8割超の危機的状況
📊 深刻化する倒産・赤字の波
倒産件数が過去最多水準に
2025年の病院・クリニック(歯科除く)の倒産件数は41件(前年比+5.1%増)で、3年連続前年超えとなりました。歯科を含めると66件で2年連続の過去最多更新です。特に深刻なのは、地域医療の中核を担う中堅・大規模病院の倒産急増です。
| 区分 | 2025年上半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 病院・クリニック全体 | 21件 | +16.6%増 |
| 病床20床以上の病院 | 8件 | +166%増(2.6倍) |
| 負債10億円以上 | 5件 | 前年1件→5件 |
| 従業員300人以上 | 2件 | 前年0件→2件 |
⚠️ 重要21件すべてが「破産」(消滅型)であり、再建型はゼロという厳しい実態です。
赤字病院が多数派に
📌 公立病院の8割超が赤字という状況が続いており、400床以上の大規模公立病院では、2023年度→2024年度にかけて経常損失が2倍以上に拡大
📌 国立大学病院42院の2025年度の経常損益は400億円超の赤字と推計(前年より126億円悪化)
📌 約4割の病院で外来・入院収入がコロナ禍前の水準にも戻っていない
🔴 経営難の主な原因(5大要因)
- 💰 ① 人件費の高騰医師・看護師などの有効求人倍率が高止まりし、特に地方部で深刻。人件費が収益を大幅に圧迫している。2023年の赤字病院割合は64.8%、2024年は69.0%と悪化の一途。
- 📈 ② 物価上昇と診療報酬の乖離電気代・光熱費・食材費・医療消耗品などあらゆるコストが急騰する一方、診療報酬改定の引き上げ幅がそれに追いつかない構造的問題。収益より費用の伸びが大きい状態が続く。
- 🏦 ③ ゼロゼロ融資の返済ラッシュ独立行政法人福祉医療機構(WAM)のコロナ禍支援融資(ゼロゼロ融資)の返済ピーク到来。資金繰りが一気に悪化している医療機関が急増。
- 👥 ④ 人手不足・後継者問題理事長・院長の高齢化が進み、後継者不足が深刻化。医師・看護師の慢性的不足により診療機能の維持が困難になるケースも増加。
- 💻 ⑤ DX対応の遅れ2025年度の調査では、DXに「積極的に取り組んでいる」と答えた病院は20%以下。さらに、取り組んでいる病院でも35%以下しか効果を実感できていない状況で、業務改善が進んでいない。
✅ 打開策・経営改善の方向性
1 医療DXの推進
政府は業務効率化・職場環境改善に取り組む病院を国が認定し、補助金・IT導入支援を拡充する方針。電子カルテ・AI診断・オンライン診療などの導入が急務。
📌 成功のカギ:DX導入前に各部門の業務の整理・統一化を行うことが前提条件
2 M&A・事業承継の活用
後継者不足や経営難を背景に、医療法人M&A(合併・買収)が急増。大手医療グループや病院法人による買収・統合が加速しており、地域医療の維持手段として注目されている。
3 地域連携の強化
単独病院での経営維持が困難な中、地域医療連携推進法人の活用や近隣病院・診療所との機能分担が重要。地域で「選ばれる病院」になるためのポジショニング戦略が必要。
4 収益構造の多角化
外来・入院収入だけに頼らず、在宅医療・介護連携・健診・予防医療など収益源の多様化が求められる。
5 国の財政支援策の活用
厚生労働省の令和7年度補正予算で、業務効率化・職場環境改善に取り組む病院への財政支援が盛り込まれた。補助金制度を積極的に活用することが重要。
🔮 今後の見通し
2025年以降の病院経営キーワード
- 地域に必要とされる存在であり続けること
- 人口減少・患者数減少を前提とした経営設計
- DX × 人材戦略の一体推進
- 医療空白地域の拡大という社会課題への対応
地方を中心に医療空白エリアの拡大が現実味を帯びており、病院の経営危機は単なる民間企業の問題ではなく、地域住民の命に直結する社会問題として喫緊の対応が求められています。

