医療機関の倒産件数、2025年上半期は過去最多の35件
帝国データバンクの集計によると、2025年上半期の医療機関の倒産件数は35件で、過去最多となった。特に「病院」「歯科医院」が過去最多となっており、同社は「費用高騰の一方、診療報酬はそれらの上昇分を賄うにはほど遠いレベルで推移している」とし、年間でも過去最多の件数が見込まれるとしている。
同社が7月8日に公開した「医療機関の倒産動向調査(2025 年上半期)」によると、2025年上期の倒産件数35件で、内訳は「病院」9件、「診療所」12件、「歯科医院」14件だった。「病院」と「歯科医院」が過去最多だった。負債10億円以上の倒産は4件でいずれも「病院」だった。都道府県別では北海道、東京、神奈川、奈良、兵庫、福岡が各3件で、18都道府県で発生した。
同社は「医療機器の価格、人件費(残業代)、入院患者の給食費、光熱費などが高騰する一方、診療報酬はそれらの上昇分を賄うにはほど遠いレベルで推移しているのが現状」と指摘。診療所、歯科医院では経営者の死亡や高齢化で事業継続が困難となる事業者が急増しているという。病院については、病院建物の法定耐用年数は39年とされているが、病院を経営する全国5132事業者(法人のみ)の設立時期の分布を調べたところ、39年前にあたる1986年以前に設立されたのは全体の53.4%だったことが判明。「建設費高騰や資金難で、新施設の建設ができずに事業存続危機に陥る施設が相次ぐのではないか」と述べている。
集計対象は、負債額1000万円以上かつ法的整理となった 「病院」「診療所」「歯科医院」の経営を主業とする事業者。